建設業の種類
区分 | 建設業の種類 | 建設工事の内容 |
一式工事
(2業種) |
土木、工事業
建築工事業 |
総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物・建築物を建設する工事
※大規模又は施工が複雑な工事を原則として元請業者の立場で総合的にマネジメントする事業者向けの業種 |
専門工事
(27業種) |
大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、菅工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事業、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、解体工事業 | 各工事の内容は、昭和47年3月8日建設省告示350号(最終改正平成29年11月10日国土交通省告示)参照。 |
建設業許可は、建設工事の完成を請け負う営業、すなわち建設業(法2条1項、2項)を営む以上、上記の29の建設業の種類(業種)ごとに受けなければならない。各業種の建設工事の内容は、「建設業法第2条第1項の別表の上欄に掲げる建設工事の内容」(昭和47年
3月8日建設省告示350号)に明示されている。また、建設工事の業種区分の考え方については事務ガイドラインで説明されているので、参照されたい。
建設業許可は業種別に許可取得が必要であるため、許可が必要な業種が複数ある場合は、それらのすべてにおいて許可を受けなければならない。ただし、本体工事に付帯する工事(法4条、30頁参照)については、本体工事と併せて請け負うことができる場合があり、別途、附帯工事のための建設業許可の取得は必要ない。しかし、工事の態様によっては本体工事に付帯しないと判断される場合もあるため、法違反にならないよう十分な注意が必要である。
なお、土木・建築一式工事に係る業種の許可があっても、各専門工事に係る業種の許可がない場合は、請負代金の額が500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできない。
♦関連判例 土木・水道区分の判断に関する事案
実務の現場でしばしば区別に苦労する土木一式工事と水道施設工事の考え方について、司法の考え方を紹介する。
秋田県山本郡琴丘町(現山本郡三種町)の住民Xが、琴丘町と被告建設会社Y間の指名競争入札による請負契約が無効であることを提訴した本件は、無効の理由として、本件工事の内容に照らし合わせて、Yが適切な許可業種を取得してないことを挙げた。これに対し地裁は、以下の通り判断した。
建設業法に定める別表及び道標掲記の各工事内容の概念を明らかにした昭和47年3月8日建設省告示350号によれば、本件各請負工事はいずれも主として、上水道のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事といえ、同別表上の水道施設工事に該当する工事と解せられるものである。
「しかしながら他方、本件各工事内容の中には、いずれもいわゆる土木工事とみられる工事もかなりの程度含まれていることや、本件簡易水道新設工事琴丘町の上岩川地区、鹿渡地区等広範囲にわたる水道施設の設置という、かなり大規模な工事」であって、「総合的な企画、指導、調整のもとに当該水道施設を建設する工事であると認められることに鑑みれば、本件各工区の工事とも、右別表に定める、総合的企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事である土木一式工事も複合的に組み合わされている」とした。また、同時に電気計装設備工事が本件工事に含まれているのに関連する業種の許可を取得していないことも問題となっていたが、その点については、「いわゆる水道施設工事に付随した工事と評されることや、費用面等における第一工区の工事全体中に占める同工事の比重に照らせば、建設業法第4条所定の「附帯工事」に該当する」とした。この附帯工事該当判断については、本件電気計装設備工事の具体的内容が、取水井水位計、取水量推計等水道施設における計装機械を設置する工事であり、見積金額も工事費総額2億6263万円9000円に対して4810万円3000円と全体額の2割に満たないことを根拠としている。
上記の判断をもとに、本件では、施工業者の許可業種と工事の種類の不一致という違法の事実はないとし、さらに、別の工区(第三工区)については、確かに水道施設工事の許可業種があるべき工事にもかかわらず土木一式工事の許可しかない状態が上記工区(第一工区)よりも強い事実があるものの、「土木工事とみられる工事が相当程度の比重を占めており、右許可業種と工事の種類との間の不一致の程度はさほど重要なものとはいえない」こと、さらに建設業法1条の趣旨から「建設業が無許可で現実になされること自体を行政的立場」